今月の現場から(保健師コラムリレー)

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治療と仕事の両立支援 ~静岡県へのゆっくり確実な浸透を目指して~

静岡産業保健総合支援センター 産業保健専門職 奥柿智子

私は、静岡産業保健総合支援センターの産業保健専門職として勤務し始めて3年目の保健師です。今まで、行政・健診機関・事業場などで保健師として働いてきました。特に、前職の事業場では常に社員の復職支援に関わってきましたので、産保センターの両立支援でもその経験が生かせると思っていました。が、現実はかなり厳しく今までの大手企業の保健師の活動は大手ゆえにできたことであったと改めて考えの甘さを反省している所です。
 静岡県のご紹介です。静岡は新幹線に乗ると、富士山を見ながら通り過ぎてしまうことが多い県です。冬はほとんど雪の降らない温暖な気候の為か、気質的にはおっとりのんびりしています。県内でも保守的な地域では新しいものをいち早く取り入れるより変化を嫌い協調性を重視する傾向がある反面、地域によっては世界的企業が多く集まるなど、多様性のある県でもあります。
 さて、静岡産保センター内で両立支援を担当するのは産業保健専門職(保健師)です。保健師は個人でも動きますが、保健師がその力を発揮するのは調整役としての役割だと思っています。
 また私は、治療と仕事の両立支援は本来、事業場内の産業保健活動の中の一つであり、両立支援だけが独立してあるわけではないと思っています。ただ、この治療と仕事の両立支援に関しては事業場内の調整だけでなく、病院(主治医やMSWなど)との情報共有が不可欠です。その為、主治医や病院相談窓口のスタッフと協力していくことができるかが非常に重要であり、静岡ではこの1年かけて県内の病院窓口へ、産保センターのPRと相談窓口開設の為の協定を結んで頂けるようお願いに回りました。
 結果、今年度新たに3病院と協定を結ぶことができ、現在7病院と交渉中です。すべての病院と協定が結ぶことができたら15病院に相談窓口が開設されます。
 県内全域がカバーされますので、病院関係者のお力をお借りしながら、保健師は病院と両立支援促進員を結びながら、対象となる社員さんや会社担当者との調整役になりたいと思っています。
 同時に、病気になった社員さんが戻っていく事業場での復職準備も必要です。今年度は地域産業保健センターのお力お借りし、訪問による事業場での両立支援の準備を進めて行きたいと思っています。
 また、労働局にもお願いし、訪問希望の事業場紹介を開始頂ける予定となっています。
 治療と仕事の両立支援という、県内事業場にとってまだまだ耳慣れない支援が、取り組む意義を見出して、社内の産業保健活動の中にしっかり定着するよう、関係の皆様と力を合わせ協力しながら確実な浸透を目指して行きたいと思います。
 より良い支援を提供させて頂きながら、焦らずゆっくりじっくり進めたいと思います。

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