今月の現場から(保健師コラムリレー)

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~治療と仕事の両立支援に携わり思うこと~

鹿児島産業保健総合支援センター 江並 朋子

九州最南端に位置する鹿児島県は、数多くの離島(有人島数28)を有し、県域は南北に約600kmと長く、その距離は東京~青森の直線距離とほぼ同じです。鹿児島といえば、西郷さんや桜島が有名ですが、黒豚・黒牛、茶、焼酎、大島紬など沢山の特産品もある魅力ある県です。
 鹿児島県で働く人は、「医療・福祉」が最も多く、次に「卸売業・小売業」と続きます。また、事業場の規模としては約97%が労働者数50人未満の事業場となります。
 今回、労働者数50人未満の事業場において、当センターの支援により、治療と仕事の両立支援に取り組まれた事例(自験例を元に作成)をご紹介いたします。
 事業場の人事労務担当者から「運転業務で採用した社員がいますが、現在病気により運転業務に従事していません。その社員から病状も落ち着いてきたので、運転業務に従事したいと希望がありました。今までも一生懸命働いてくれている社員ですので、本人の希望通りに働かせてあげたいと思っています。そして、運転業務に従事してもらうことができたら、その社員の代わりに今、運転業務に入っている社員も本来の業務に集中できます。ただ、病気のことがわからないため、運転業務をさせてよいものか迷っています。」とのご相談がありました。
 当センターの対応として、患者である労働者がどのような働き方をすれば病状を悪化させることなく、また安全を確保しながら運転業務に従事できるかを主治医に相談していただくようお勧めしました。その結果、患者である労働者の定期受診の際に、人事労務担当者、当センターも同席のもと、主治医に治療方法を検討していただき、週2日から運転業務を再開することができました。
 この事例は、患者である労働者が「どのように働きたいか」をきちんと事業場側へ伝えたことから、支援が始まりました。今後の治療の見通しも立たない中で、事業場へ相談するのは難しかっただろうと思います。
 ただ、この担当者の相談内容からもわかるように、この労働者が、日頃から仕事に真摯に向き合い、担当者との信頼関係が確立していることから相談に繋がった事例だと考えています。
 また、お互いさまの風土がある事業場だからこそ治療と仕事の両立がスムーズにいったのではないでしょうか。
 この事例から、日頃から仕事に真摯に向き合うこと、上司・同僚とのコミュニケーションを図っていくことを、私自身も一人の労働者として大切にしていきたいと感じました。
 さんぽセンターでは治療と仕事の両立支援についてのご相談に対応しておりますので、ぜひご利用ください。

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